「2人以上の世帯で月々赤字の家計は約60%」
これは2021年に総務省がおこなった家計調査の結果です。
この60%の家庭は、不足分を貯蓄やボーナスを切り崩して帳尻を合わせているということです。
この記事を読んでいるあなたも、貯蓄の取り崩しやボーナスでの穴埋めに覚えがあるかもしれません。
しかし、それはわかってはいるけど「家計管理が上手くいかない!」や「これから始めるけど上手くいくか不安」という人も多いのではないでしょうか?
そこで、この記事ではこれから家計管理を始めたい、やったけど上手くいかなかった人向けに、家計管理や家計簿の始め方をわかりやすく解説します。
読んだあとは自分の性格にあった続けられる家計管理の仕組みができていますよ。
それでは、本題にはいります!
家計管理とは?家計簿との違い
よく聞く「家計管理」と「家計簿」。日々悩まされている人も多いのではないでしょうか。
同じ意味にとらえている人も多いのですが実は目的が違います。
それぞれを見ていきましょう。
家計管理とは予定が実現するように管理すること
家計管理とはなんでしょうか?
日本の金融知識の啓発をおこなっている「金融広報中央委員会」では、このように定義しています。
家計管理とは、
家庭経済の諸活動全体を管理すること
引用:金融広報中央委員HP
とあります。
短い文章なのにわかりにくいので、わかりやすく要約すると、
「家庭や個人の予定が実現できるように、収支も含めてお金を管理すること」です。
そして、管理を実現する方法の一つとして「家計簿」があるということですね。
家計管理はなぜ必要なの?
では、なぜ家計管理は必要なのでしょうか?家計簿で収支がわかるのだから十分と思う人も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、家計管理は必要です。
なぜなら、家計簿だけやっていると赤字になりやすいからです。
家計管理=家計簿ではありません!
家計管理と家計簿が違うものという意味を図解で説明したいと思います。
下の図解を見ると、家計簿だけを考えていると、家計管理にある予定をする際にお金が足りなくなってしまいます。
家計管理をする目的とは?
家計管理は「家族の予定を実現できるようにお金を管理すること」と説明しましたが、家族の予定を実現するには、
- 家族の誰の予定が
- いつあるのか
- それはいくらかかるのか
がわからないと、そもそも実現できません。
誰が・いつ・いくらを明確にすることが、家計管理の目的です。
家計管理の目的を決める
それでは、あなた自身の家計管理の目的を決めましょう。
この1年であなたが実現したいことを具体的に考えて下さい!
10月に京都へ家族旅行に行く! 予算は10万円です!
この予定を実現するためにお金を管理していくというのが家計管理をする目的です。
家計管理は1年ですが、数年〜数十年単位で考えていくのが「ライフプラン」です。
数年先の予定を見越してお金の管理が出来るので、ライフプランの作成をおすすめします。
家計簿の目的を決める
家計簿の目的は、収入と支出とその差額を知ることですが、家計管理で考えた目的を実現するために、家計簿では何ができるでしょうか?
例えばひと月の収入が30万円、支出が30万円だと、プラスマイナス0で赤字ではありません。
12ヶ月同じ状態が続くと年間でもプラマイ0ですが、予定していた家族旅行の予算は残っていません。
家計管理で予定していた家族旅行は実現しなかった。ということになります。
あなた自身の家計簿の目的を考えてみましょう!
我が家の場合は「月々のやりくりの中から家族旅行のお金をつくる」にします!
家計管理を始める準備
家計管理を始める準備はとてもシンプルです。
まずは、昨年の出来事を思い出しながら進めます。
昨年の特別な支出をピックアップする
昨年あった特別な支出を思い出してみましょう 。
特別な支出というのは、毎月支払うものではなく特別な理由があって支払ったものになります。
- 年払いの自動車保険
- 友人や親戚の結婚式
- 自動車重量税
- 固定資産税
など
今年中にやりたい予定の特別な支出を考える
次は、あなたや家族が今年中に実現したい予定の特別な支出を考えます。
できるだけ誰が、いつ(時期)、いくら(予算)を明確にしてください。
- 家族旅行
- 資格の取得
- 子どもの誕生パーティー
など
昨年と今年の特別な支出を組み合わせる
昨年の特別な支出の中から毎年発生するものと、今年の予定を合わせたのが、今年の特別な支出になります。
特別な支出の年間総額を、単純に12ヶ月で割った金額を毎月の家計簿から捻出します。
捻出する金額が多いと感じたら、予定の見直しや支出の見直しをする必要がでてきます。
かんたん家計簿を始める準備
家計簿を始める準備と言うと家計簿を買ったり、ノートを買ったり、エクセルでシートを作ってしまいそうですが、ちょっと待って下さい!
一年間がっつりやろうと意気込んでしまいますが、まずは自分がどんな家計簿なら続けられるかを考えなければいけません。
そのためには、まずは一週間だけプレ体験をやってみましょう。
必要なのは、レシートとメモ用紙だけです。
まずはレシートを集めるところから
一週間のプレ体験の第一段階として、一週間分の買い物や支払いをしたときのレシートを全てもらってください。
家計簿アプリを入れて、電子マネーなどを自動連携するからレシートはいらない!という方もいると思います。
ですが、家計簿アプリを使う人もレシートは集めてください。
その理由は、
- まずレシートをもらう癖をつける
- レシートに割引クーポンなどがついている場合がある
- レシートを買い取るサービスでお金やポイントに交換できる
- その年に医療費が高額になった場合に医療費控除の集計漏れを防げる
もらったレシートの管理は、とりあえず一週間なのでクリアファイルに挟んでおくと良いです。
このレシートを集める習慣が続かない人は、手書きの家計簿は難しいかもしれません。
一週間分のレシート集計する
一週間分のレシートが揃ったら集計してみましょう。
プレ家計簿は、簡易的に下の5つの分類で構いません。
- 食費(スーパーで買うものなど)
- 交通費(ガソリン代・電車代・バス代など)
- 消耗品費(日常の洗剤・ホームセンターで購入したモノなど)
- 被服費(服・下着など)
- 雑費(雑貨・文房具・100均のモノなど)
一週間分のレシートを分けて集計すると「このお店よく行っているな」とか「一週間で食費にこれだけ使うんだ」とか新しい発見があります。
会社の帳簿ではないので細かい数字は気にぜす、10円単位切り捨てで集計しても問題ありません。
この一週間のプレ体験家計簿は、メモ書きやウラ紙に集計して書くだけでOKです。
手書き家計簿か家計簿アプリか
一週間のプレ家計簿をやったときの、自分の気持ちを思い出してみましょう。
レシートをもらって、分類して集計するのがめんどくさい!できない!という人は家計簿アプリの方が向いています。
逆に家計簿アプリだと、お金の動きがわかりにくい!把握したい!という人でれば、多少手間でも手書き家計簿が向いています。
どちらの方法で家計簿をつけるかずっと悩んでいても、後でいくらでも変更できるので上の内容を参考に決めましょう。
スタートすることの方が大切です。
そして、一ヶ月家計簿つけにチャレンジしてみよう!
続ける仕組みをつくる
一ヶ月間の家計簿をつけている間に、同時に負担が少なく続けられる家計簿にするために仕組みをつくっていっきます。
まず、クリアファイルに貯めていたレシートは月ごとに分けましょう。これは、複数の月が混ざっていると分別するのに時間がかかること。そしてレシートの束を見るとやる気が無くなるからです!
ジャバラ状に区切られているファイルを使うと、A4の書類もはいるのでオススメです!
ちなみに、私はキングジムのファイルを使っています。
A4サイズの書類も入って、しかも12ヶ月ごとに分けられて便利!
手書き家計簿で始めている場合は、一週間ごと書き込むのか、月末に書き込むのか、自分に負担にならないタイミングを決めて家計簿に書き込みます。
手書きの家計簿でも、家計簿アプリでも、毎月の頭に前月を振り返って今月の改善点を考えたり、目標に対してどのくらい達成したのか確認するとモチベーションが上がりますよ。
赤字が毎月続くようであれば、家計管理に書いた予定を全て実現することはできません。
予定を全部実現したということは、預金を取り崩したか、ボーナスを当てたということになります。
お金が貯まらない家計は、預金やボーナスを当ててしまうためにお金が貯まらなくなっています。
そこで、今年の家計管理でピックアップした特別な支出の総額を12ヶ月で割って、1ヶ月分を家計簿の支出にプラスしてみて下さい。
この状態で黒字にできれば、預金やボーナスに手をつけることなく、お金が貯められる状態になります。
逆に赤字であれば、家族の予定を実現できないので支出の見直しが必須となります。
まとめ:家計管理と家計簿を活用して、自分に合った方法でやってみよう
家計管理と家計簿は混同しがちですが、目的が違います。
目的:年間の家族の予定を実現できるようにお金を管理すること
ポイント:家族の誰の予定が・いつ・いくらでやるのかを把握することが大切
単年は「家計管理」
複数年間は「ライフプラン」という。
目的:毎月の収入と支出の差額を知ること
ポイント:自分のモチベーションが上がる目的をつくる。「旅行に行くために家計簿を黒字にする!」など。
家計管理をするための手段の一つが家計簿。毎月の家計簿だけでは将来の支出が管理できない。
簡単に続く家計管理をする方法は「自分の負担が少ないこと」が重要です。
いきなりガッツリ始めるのではなく、一週間ほど試しにやってみましょう。
不安が少ない家計管理が出来るように、一歩踏み出してみて下さい。
Text&Director:Hirotaka Dezawa