無理をしない教育費の貯め方

この記事を書いている私は、現在37歳、7歳の子どもがいます。

子どもの教育資金に関しては日々悩ましい問題ですが、皆さんは教育資金についてどのようにお考えですか。

教育費については不安だけれど、どのように貯めていけば良いのか分からない、結局いくら準備すれば良いのか分からない、そもそも何をどうすれば良いのか分からないなどなど悩みはつきませんよね。

日常生活を送りながら、教育資金を準備することは容易なことではありません。
ましてや、住宅ローンや自動車ローンの返済が月々あるご家庭もあるでしょう。

また、将来の不安もさることながら、今現在の教育費に関しての不安はありませんか。
小学校に入ってお友達が習い事をやっている・・・塾に通っている・・・通信教育をやっている・・・自分の子供にもそろそろ何かしらやらせてみようかな、なんていうちょっとした出費にも頭を悩ませているかもしれません。

子どもの将来のためにと、日々の生活を我慢することも親の努めかもしれませんが、楽しむところはパーっと使い、締めるところは締めるメリハリのある生活の方が教育資金も貯まると思いませんか。

やるなら、切羽詰まらず、日々の生活を楽しんで貯蓄出来たほうが得ですよね。

この記事では、無理をしないご自身に合った教育資金の貯め方を考えていきたいと思います。

Yuri Ishiguro
Yuri Ishiguro

この記事は次のような人におすすめ!

  • 自分に合った教育費の用意の方法が知りたい人
  • どのくらい教育費を用意するのか知りたい人

1.教育費はいくら必要か

子どもの成長が嬉しい反面、これから必要になるであろう教育資金について実際どの時期にどのくらいの資金が必要なのか把握していますか。

公立私立
幼稚園約22万円約52万円
小学校約32万円約159万円
中学校約48万円約140万円
高等学校
(全日制)
約45万円約96万円
出典: 子供の学習費調査の結果について(平成30年度)文部科学省

表からも分かるように、公立、私立で大きな差があることが分かります。
子どもを私立に入れたいと考えているご家庭は、この時期の資金も考えておく必要があります。

また、高等学校への進学率が98%であるという現状から高等学校等就学支援金制度が制定されています。
公立高校に通う生徒には年間11万8,800円の支給で実質無料となっており、私立高校に通う生徒に対しても令和2年4月より制度の改正で支援が厚くなりました。

入学費用在学費用
(4年間)
国公立大学約77万円約460万円
私立大文系約95万円約608万円
私立大理系約94万円約768万円
出典:教育費負担の実態調査結果(令和2年度)日本政策金融公庫

大学への進学では、進学先により大きな差が出てくることが、上記の表でお分かりいただけると思います。
さらに、医学部、歯学部、薬学部などの6年制、留学などの可能性を視野に入れておいても良いのかもしれません。

お子さんが進む進路をあれこれ想像して、多めに貯めておくに越したことはありません。

2.自分に合った教育資金の貯め方とは

①リスク許容度とは

資産形成をする場合に、自分がどの程度のリスクを許容できるかという度合いのことをいいます。

資産形成にはいくつかの方法があり、リスクの低い預貯金からリスクの高い資産運用まで多岐にわたります。
資産運用では、大きな利益を求めた場合大きなリスクを受け入れなければなりませんし、小さな利益で良いのであれば、リスクは小さくて済むかもしれません。

元本を失っても良いから、大きな利益を得たい!という人もいれば、利益は小さくて良いから、損失は出したくないという人までそれぞれでしょう。

自分がどういうタイプでどの程度のリスクを許容できるかを理解することにより、自分にはどのような資産形成が向いているのかを検討することができます。

それにより、自分に合った教育費の貯め方を考えていけるのです。

②リスク許容度を判定してみよう

自分がどのくらいのリスクをとることができるか下のリンク先判定してみます。

リスク許容度は数字が小さいほど、リスクに対しての許容できる範囲がせまく、数字が大きければ大きいほど、リスクに対しての許容できる範囲が広いということになります。
すなわち、数字が小さいほどリスクをとる商品を避ける傾向にあり、数字が大きいほど、リスクを負ってでも利益を得たい傾向にあるといえます。

3.教育費の貯め方

教育費の貯め方にはどのような方法があるのでしょう。

リスク許容度が低く、また確実に教育資金を貯めたい人は、積立定期預金や定期預金などの元本割れしない商品を、逆にリスク許容度が高かった人は保険や運用する商品を検討すると良いということになります。
しかし、注意しなければいけないことは、預貯金などの商品は元本割れしないかわりに、インフレリスクといい、物価にたいして、お金の価値が下がるリスクがあることを忘れてはいけません。

以下に、個々の商品について説明しています。自分にはどのような教育費の貯め方が向いているのかを考慮しつつ、資産形成の方法を考えてみてください。

①積立定期預金                       

  • 毎月決まった金額を積み立てる
  • 契約期間の最終日に積み立てた資金とその利息が受け取れる
  • 元本割れしないが、金利は低い
  • 各金融機関で手続きできる           

                    

②定期預金                         

  • 期間を決めて預入する
  • 単利、複利という預入方法がある
  • 元本割れしないが、金利は低い
  • 各金融機関で手続きできる

③保険                           

3種類の保険をあげています。

それぞれにメリット、デメリットがありますので参考にしてください。

(1)学資保険                            

子どもの教育資を準備するための貯蓄型の保険

メリット
  • 契約者の死亡保障、身体の機能が一定以上損なわれた場合の保障がある
  • 確実に貯められる
  • 所得から一定の金額を差し引くことにより節税できる
デメリット
  • 途中解約した場合、元本割れをする
  • 換金性が低い
  • 加入時の、保険会社が約束する利率で運用するため、物価に対してお金の価値が下がる リスクがある

より詳しく学資保険をまとめた記事がありますので参考にしてみてください。

2)低解約返戻金型保険                     

解約時に払い戻されるお金を抑えることで、保険料を割安にした保険

メリット
  • 払込期間を自由に設定できる
  • 満了後も据え置くことで、支払った保険料以上のお金を受け取ることができる
  • 所得から一定の金額を差し引くことにより節税できる
デメリット
  • 途中解約すると元本割れする
  • 約束する利率が固定されている商品の場合、物価に対してお金の価値が下がるリスクがある

3)個人年金保険                          

老後の生活資金を準備することを目的とした民間の保険

メリット
  • 所得から一定の金額を差し引くことにより節税できる
  • 持病があっても加入できる商品がある
デメリット
  • 元本割れの可能性がある

④運用                           

1)株式投資で運用する                       

株の売買益で利益を得る。
また、株主となり企業が得た利益の一部を受け取ることによって利益を得る。
証券会社、ネット証券で手続きできる。

(2)投資信託で運用する                       

投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果がそれぞれの投資額に応じて分配される。
証券会社、ネット証券、銀行等金融機関で手続きできる。

(3)債券で運用する                         

債券はお金を貸した証として発行される有価証券。
債券の発行体はそのお金で事業を行い、投資家は定期的に利子を受け取る。
証券会社、ネット証券、銀行等金融機関で手続きできる。

(4)NISA、積み立てNISA、ジュニアNISAを活用する

NISA(小額投資非課税制度)とは、非課税口座内で毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が、一定期間非課税になる制度です。

(本:大事なお金を守るため増やすための資産運用管理)

NISA積み立てNISAジュニアNISA
対象者日本在住の20歳以上日本在住の20歳以上日本在住の20歳未満
非課税対象上場株式、投資信託等一部の投資信託等上場株式、投資信託等
非課税投資枠120万/年40万/年80万/年
非課税期間最長5年間20年間最長5年間
投資可能期間2023年
(2024年~新NISA)
2042年2023年
払い出し制限なしなしあり
(18歳または2023年までは払い出し制限)
出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト

株式投資、投資信託の運用で教育費を貯めようと検討しているのであれば、NISA口座で非課税投資枠内での運用を考えるのも一つの方法です。

⑤ネット銀行の活用

ネット銀行は店舗をもたないことで、大手銀行、地方銀行に比べて金利が高く設定されており、手数料も割安。口座開設からネット上でできるのはもちろん、預け入れや引き出し、振込などの手続きもすべてネット上で行うことができます。

⑥贈与                           

親が教育資金を準備する以外に、直系尊属からの贈与という資金形成の方法があります。
(【2023年】令和5年3月31日までの措置)

対象直系尊属(父母・祖父母)から子・孫への教育資金
非課税枠受贈者一人につき 1,500 万(学校等以外のものに支払われる金銭については500万円を限度)
出典:国税庁HP 贈与税

⑦学資ローン、奨学金                    

資金が十分でなかった場合は、教育ローンや奨学金制度を利用することができます。

【1】教育一般貸付(国の教育ローン)                 

日本政策金融公庫の教育一般貸付は、上限350万円、固定金利年1,7%、最長15年の長期返済で借りられる国の教育ローンです。
一定の要件を満たす場合には、上限を超えての借り入れができます。

また、日本学生支援機構の奨学金と併用できます。

【2】民間の教育ローン                             

各金融機関で取り扱っています。
地方銀行にも教育ローンが準備されています。
大手銀行、ネット銀行の教育ローンも多数あります。

各銀行により、借り入れ限度額、金利などが異なるので比較検討が必要です。

奨学金

  1. 日本学生支援機構の奨学金制度
  2. 大学独自の奨学金制度                      

多くの大学が独自の奨学金制度を設けています。

4.今すぐできる!?家でできる!?ちょっとしたお金の貯め方

  1. ポイントサイトの活用
    アンケートに答えたり、広告クリックをしたり、ゲームに参加することで貯めたポイントを、換金することができます。
  2. フリマアプリで不用品を売る
    子どもが大きくなって着られなくなった洋服や使わなくなったものなどを売ることで、ちょっとしたお金を稼ぐことができます。
  3. キャッシュレス決済を利用する
    クレジットカード、スマートフォンアプリを使った決済でポイントが貯まり、そのポイントを使ってさらに買い物ができます。

5.まとめ

ご自身に合った無理をしない教育費の貯め方はお分かりいただけましたか。
資産形成の方法は多岐にわたり、またご家庭の考え方もさまざまだと思います。

こうしなければならない、というものは一つとしてありません。ご家庭によってさまざまな形があって良いと思います。
まだ何も手を付けていないということであれば、この記事を参考に預貯金から始めてみるのもいいかもしれません。

しかし、教育費はお子さん自身の問題でもあります。お子さんと今後の進路や教育費に関することなどを日ごろから話せるといいですね。

Text:Yuri Ishiguro
Director:Hirotaka Dezawa