子育て世代を助ける制度にはどういうものがある??~前編~

子育てには何かとお金がかかりますよね。

衣食住の細かい出費や、進学の費用など上げればきりがありません。
すべての費用を自分自身で賄えるに越したことはないですが、手当や補助金などを上手く活用して負担を減らしたいと考える子育て世代の皆さんも多いのではないでしょうか。

自分の状況が支給条件に当てはまっているのに、申請をせずに支給されないということは避けていですよね。
この記事では、子育て世代の家庭に関係が高い制度を紹介していと思います。

Yuri Ishiguro
Yuri Ishiguro

この記事は次のような人におすすめ!

  • 子育てに関する制度について知りたい人
  • さまざまな制度を上手に使いたい人

1.子育て世帯が受け取れる手当

現状で子どもがいる世帯に向けた制度です。
代表的な児童手当からはじまり、障害のある子どもがいる世帯に対応した制度や、生活環境に対応した制度があります。

児童手当

制度の目的

児童手当は国が子育て世代に支給しているお金です。

児童手当制度は、児童を養育している人に手当を支給することにより、家庭の生活の安定を図り、これからの社会を担う子どもたちの健やかな成長と資質の向上を目的としています。

支給金額

児童の年齢児童手当の額(一人あたりの月額)
3歳未満一律15,000円
3歳以上
小学校修了前
10,000円
(第3子以降は15,000円)
中学生一律10,000円

児童手当は、日本国内に住んでいる中学校卒業までの子どもを養育している人に支給されます。

支給時期

原則として、毎年6月、10月、2月にそれぞれの前月分までの手当が支給されます。

6月:2月~5月分

10月:6月~9月分

2月:10月~1月分

請求方法

児童手当は、手続きをしないと支給されません。子どもが生まれたら、住んでいる市区町村に「認定請求書」を提出してください。
認定されると、申請した月の翌月分から支給が始まりますので、早めの申請が必要です。
申請が遅れた場合は遅れた月分の児童手当は受け取れないので注意が必要です。

公務員の場合は、勤務先から児童手当が支給されるので、勤務先に届出と申請が必要です。

所得制限

児童手当には所得制限があり、子どもを養育している人の所得が一定額以上の場合、子供一人当たり月額5,000円の支給となります。
また、2022年10月から、子どもを養育している人の年収が1,200万円以上の世帯は児童手当が打ち切りになります。

扶養親族所得制限限度額
0人622万円
1人660万円
2人698万円
3人736万円
4人774万円
5人812万円

児童扶養手当

制度の目的

父または母と生計を同じくしていない児童の生活の安定と自立の促進に寄与するため。

支給要件

父または母と生計を同じくしていない18歳未満(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)の児童を養育する父母等に支給されます。

支給月額

  • 全額支給:43,160円
  • 一部支給:43,150円~10,180円

児童2人目から加算額あり。

受給資格者または扶養義務者の前年の所得が一定額以上の場合、手当の全額または一部は支給されません。

支給時期

原則として1月、3月、5月、7月、9月、11月にそれぞれの前月分までの手当が支給されます。

児童育成手当(遺児手当)

児童育成制度は、各自治体で定められた制度で名称も異なります。

東京都の制度では、基本的に都内に住所があり、死亡や離婚などで父または母がいない児童を養育している人に支給されます。

特別児童扶養手当

制度の目的

精神又は身体に障害のある児童について、福祉の増進を図るために支給されます。

支給要件

精神又は身体に障害のある20歳未満の児童を家庭で養育する父母等に支給されます。

支給月額

  • 1級:52,500円
  • 2級:34,970円

受給資格者または配偶者、扶養義務者の前年の所得が一定額以上の場合、手当は支給されません。

支給時期

原則として、毎年4月、8月、12月にそれぞれの前月分までの手当が支給されます。

障害児福祉手当 

制度の目的

重度障害児に対して、負担の軽減と福祉の向上を図ることを目的としています。

支給要件

精神又は身体に重度の障害のある常時介護を必要とする20歳未満の者。

支給月額

  • 14,880円

受給資格者または配偶者、扶養義務者の前年の所得が一定額以上の場合、手当は支給されません。

支給時期

原則として、毎年2月、5月、8月、11月にそれぞれの前月分までの手当が支給されます。

2.出産・育児で受け取れる手当

出産育児一時金

出産に要する費用の経済的負担を軽減するため、一児につき42万円が支給される制度です。(産科医療補償制度の対象外の出産は40万4000円)

育児休業給付金

一歳未満の子を養育する被保険者に支給される制度です。

支給対象

原則、育児休業開始日前の2年間に賃金が支払われた日数が11日以上ある月が12か月以上ある人。

支給額

休業開始時賃金日額×支給日数×40%

参考資料:育児休業給付の内容及び支給申請手続について

出産手当金

出産のため、給与の支払いが受けられなかった場合、会社の健康保険組合から手当金が支給される制度です。

対象期間

出産日(実際の出産が予定日以後のときは出産予定日)以前42日から出産日の翌日以降56日まで。

支給額

支給開始日以前の継続した12か月間の     

 各月の標準月額を平均した額     ÷30日 × 3分の2

3.医療費の軽減

医療費助成制度

公的医療保険による医療負担は小学校入学前までは2割負担、小学校入学以後~70歳までは3割負担となっています。また、すべての都道府県と市区町村では、独自に乳幼児や子どもにかかる医療費の助成制度を設けています。

東京都を例に挙げて見てみましょう。

東京都の場合

小学校入学までは、「乳幼児医療の助成制度(マル乳)」により、窓口負担は原則として無料です。また小学校入学後から中学校卒業までは、「義務教育就学時医療の助成(マル子)」により、入院時の自己負担額は全額助成され、通院時は、自己負担額から一部負担金(通院一回に月200円(上限額))を控除した額が助成されます。

各区市町村によって、助成制度が異なる場合があります。他の都道府県も東京都のように各市区町村によって異なる場合がありますので、お住いの自治体に確認してみてください。

未熟児養育医療制度

未熟児は疾病にかかりやすく、死亡率が高いことなどから産後すみやかに適切な処置が必要とされています。そのため、治療に必要な費用を各自治体が負担する制度が設けられています。世帯の収入に応じて自己負担額が発生する場合があるので、各自治体に確認する必要があります。

支給対象

  • 出生時体重2,000g以下
  • 体温が摂氏34度以下
  • 運動不安・痙攣がある
  • 運動が異常に少ない

などの症状を有している場合に対象となります。

予防接種費助成制度

子どもの予防接種には定期接種と任意接種があり、定期接種は基本的に各自治体が負担します。任意接種は自己負担となりますが、自治体によっては助成制度を設けている場合があるのでお住まいの自治体に問い合わせてみてください。

インフルエンザの予防接種費用を助成している自治体もあります。

小児慢性特定疾病医療費助成制度

子どもの慢性疾患は治療期間が長く、負担が大きくなることが考えられます。そのため、医療費の負担軽減を目的とし、この制度が設けられています。

支給対象

18歳未満の小児慢性特定疾患にかかっている児童

対象疾病

  • 血液疾患
  • 慢性呼吸器疾患
  • 慢性腎疾患
  • 悪性新生物

など

これらの制度のほかにも子どもの医療費を軽減する制度が国や各自治体で設けられています。

前編はここまで。後編では、保育園や幼稚園、認定こども園に関する手当や就学後の手当について説明していきます。

Text:Yuri Ishiguro
Director:Hirotaka Dezawa