親の金銭感覚は子どもに影響するの?

子育て世代の皆さんは、自分の子どもにお金の知識を正確に教えられますか?

子どものには将来、お金の心配をしないで幸せに暮らしてほしいと思う子育て世代の人は多いと思います。
良い大学に行って、良い会社に就職すれば生涯安心というのは過去の話し。
どう収入を得て、理想の人生を歩むためにはどう活用したら良いかを自分で選択していかなければなりません。

その時に役に立つのが「お金の知識(金融リテラシー)」です。
親の金銭感覚やお金の知識の差が、どう子どもに影響するのかをご紹介します。

Yuri Ishiguro
Yuri Ishiguro

この記事は次のような人におすすめ!

  • 親の金銭感覚が子どもにどう影響するのか知りたい人
  • 子どもに金銭感覚を養わせたいと考えている人

1.親の金銭感覚はどう子どもに影響するのか

親がお金を大切にしなければ、子どもはその親の姿をみてお金を大切にしない子になるのでしょうか。
それとも反面教師となり、お金を大切にする子になるのでしょうか。
お金があってもお金に動かされない人もいれば、お金に人生を左右される人もいるようです。

経団連元会長 土光敏夫氏のはなし

土光敏夫氏は石川島重工業や石川島播磨工業の元社長であり、東京芝浦電機(東芝)を再建した人物として有名です。
深刻な経営状態に陥っていた東芝の社長に就任したのは68歳の時。
電気メーカーの社長となった土光氏の自宅には冷暖房やカラーテレビがなかったそうです。
傾きかけた家に住み、通勤はバスと電車、髪の毛は息子に切ってもらい、「メザシ」を好んで食べたそう。
年収は当時で数千万であったと言われていますが、月々の生活費は10万円程度ととても質素な生活をしていたことが伺えます。

土光敏夫氏の母、登美は女子教育の必要性を感じ、70歳で橘女学校(橘学苑)を開校させました。
校訓は「正しきものは強くあれ」「個人は質素に社会は豊かに」。
土光敏夫氏はこの母の教えを受け継ぎ、収入のほとんどを学校への寄付にあてたそうです。

大王製紙 御曹司 井川意高氏のはなし

大王製紙前会長の井川意高氏は、大王製紙四国本社がある愛媛県で育ちます。
自宅の敷地面積は1200坪あり、自家用機で東京にある塾に通っていたそうです。
また、夏期講習を受けるために帝国ホテルに1か月滞在していたこともあるとか。

東京大学の合格祝いには外車をプレゼントして貰ったという話もあります。
経営者としてはとても優秀だったようですが、この彼はカジノにはまり、借金返済のために子会社から数億円から数十億円を借りることになりますが、内部告発により懲役4年の実刑判決が下されます。

銀座・木村屋總本店  長男 木村周一郎氏のはなし

創業明治2年、あんぱんで有名な銀座・木村屋總本店。
その長男として育った木村周一郎氏の幼少期は「おいしいもの」に囲まれた生活だったそうです。
家族で外食といえば、早くから本物に触れさせようという両親の考えで、銀座や日本橋の一流店で贅沢なものばかりたべていたとのこと。

一方で、車は国産車、幼い時から普段の生活は質素にしなさいと言われて育った環境だったそうです。
夏休みには北海道にある知り合いの牧場で働き、帰りの旅費は自分で稼いだお金で賄ったそう。

そんな彼はフランスパンの会社を起業することになります。
企業にあたり資金援助は一切受けておらず、伯母からお金を借りて起業。

後に利子をつけて返済したとのこと。
現在では、伝統製法にこだわったブーランジェリー「MAISON KAYSER」を全国に約30店のほか、コーヒーショップやレストランなどを経営するなど成功を収めています。

2.子どもに金銭感覚を身に付けさせるには

子どもに金銭感覚を身に付けさせるには、お金を大切に扱う姿勢を子どもにみせることが一番大切なことですが、お家でのお金の教育が大切になってきます。

「お家でのお金の教育。どんな方法があるの?」に詳しく記載されているので、参考にしてください。

3.親が子どもにしてはいけないこと

失敗をさせないように先回りすること

「これを買ったら、あれは買えなくなるよ」「そんな無駄なものを買って、すぐ使わなくなるでしょ」などとおこづかいの使い道に口出ししてはいけません。

大人になってからのお金の失敗と比べれば子どもの時のお金の失敗は小さくて済むはず。
子どもの時にたくさんの失敗と反省を繰り返してお金の価値や大切さを学んで欲しいものです。

「うちにはお金がない」ということ 

お金に対して良いイメージを抱いていない親の子どもは、お金に対して良いイメージを抱かないことが多いそう。

子どもは親の言う言葉を素直に信じます。
お金がないと心配だから節約しようという思いから、極度にお金を使わなくなったり、逆に幼少期の反動で大人になってから浪費を繰り返す行動をとったりするそうです。

お金は貯めれば良いというものではありません。
お金に使われるのではなく、お金を上手に道具として使うことを覚えていくことが大切です。

目先の利益だけにとらわれないこと

今必要ではなくても、将来の自分のためにお金を使うことは必要なことです。
将来ピアニストになりたかったら、コンサートに行ったり、楽譜を買ったり将来の自分に対する投資としてお金をつかうことができます。

子どもが成長した時に、消費や貯蓄・運用に関しても、目先の利益に目を奪われず長期的な視点にたって選択することが大切になってきます。

4.まとめ

親の金銭感覚は少なからず子どもに影響するのではないでしょうか。

子どもは親の背を見て育つと言いますね。
お金を大切に扱う姿を子どもに見せていれば、きっと子どももお金を大切に扱う子になるでしょう。
そして併せて、お家でお金の教育ができたらお金に使われるのではなく、お金を上手に道具として使うことができる大人に成長するでしょう。

Text:Yuri Ishiguro
Director:Hirotaka Dezawa