そもそも”お金”ってナニ?

 ”お金”は多くの人にとって必要不可欠な存在だと思います。
日々の日常の中で食品を買ったり、洋服を買ったり、家賃や光熱費を払ったりと生きていく上では必要不可欠なものです。

そんなお金ですが、そもそも”お金”とは一体何なのでしょうか?

お金の勉強のためや不安を解消するためにも、まずは対象の”お金”とは何なのかを知らなくては意味がありません。

お金は「対価・感謝・うれしい物」など、人によって色々な考えはありますが、ここでは”お金”を冷静に学んでいけるように概念的な事ではなく、世界で共通したお金の説明をできるだけ簡単に解説していきます。

編集長 出沢
編集長 出沢

この記事は次のような人におすすめ!

  • これからお金の勉強を始める人
  • お金の基礎知識を知りたい人
  • 子どもにお金を教えたい人

1.お金とはズバリ「道具」です

お金とは何なのか。その答えはシンプルに「道具(ツール)」です。

道具なら何かをするためにある物ですよね。ではお金は何をするための道具かというと、
「価値を入れておく道具」です。
”価値”は後ほど詳しく書きますが、イメージとしては”価値”が入る入れ物を思い浮かべると分りやすいかなと思います。

お金が道具なら、ただの道具であるお金に操られる人生ではなく、上手に使いこなして便利に幸せになるものでなくてはなりません。
ましてや生きていく上で必要不可欠な道具なら、尚更使い方を理解しなければなりません。
使い方を間違えると危険な目にあってしまいます。

そして道具には必ず「機能」があります。
次は「お金という道具」の機能を説明します。

2.お金という道具の3つの機能

道具の機能というのはどのような意味でしょうか?
例えば、鉛筆は「書く」という機能がありますし、包丁は「切る」という機能があります。

そしてお金という道具には3つの機能があります。

お金の機能①「交換機能」

まずは「交換機能」です。
これは買い物をした時にお金を払うことで体験している人も多いと思います。


物々交換の場合は、お互いに欲しいモノが揃って同意した時でないと「交換」が出来ませんが、そこに「お金」があれば相手の欲しいモノに関わらずに自分が欲しいモノと交換することが出来ます。

お金の機能②「価値を計る尺度機能」

「価値を計る尺度機能」とはどのような機能でしょうか?

世の中には色々なモノやサービスが溢れています。
現代の世の中で、もしお金が無かった場合をイメージしてみましょう。

あなたがサロンで髪の毛を切ってもらった場合はどのように対価を払いますか?
リンゴで払おうとしたら、何個分が妥当な数でしょうか?
服で払う場合は何着が妥当でしょうか?

毎回、そんな事を考えていてはとても面倒です。

例えば髪のカットで5,000円、リンゴ1個100円ならリンゴ50個分と同じ価値という事がわかります。
ただ美容師さんも50個のリンゴをもらっても困るでしょうから、5,000円分のお金を払うということになります。

この違うモノ同士の価値の比較を簡単にしてくれる機能がお金にはあるのです。

お金の機能③「価値を保存する機能」

”価値”を保存するというのは、先程のリンゴで考えるとわかりやすいです。

50個もリンゴをもらっても食べ切れるかわかりませんし、時間が経つと腐って食べられなくなります。
腐ってしまってはリンゴの価値はなくなってしまいます。

お金ではどうでしょうか。
時間が経っても腐る事はありません。
なので次に何かと交換(取引)するまで”価値”を蓄えておけるのがお金の一つの機能といえます。

3.世界共通のお金の機能

説明したお金の3つの機能は世界の共通認識になっています。

IMF(国際通貨基金)のWebページにもお金の定義が記載されていますし、日本でも全国銀行協会のWebページの解説を始め、様々な金融機関で記載されています。(下にリンクを貼っておきます。)

今の時代で考えれば当たり前の機能ですが、お金がここまでの機能を持つまでには多くの先人の苦労と失敗の繰り返しの歴史があります。

一例として古代中国では、貝をお金として使っていた時代がありました。
お金に関係する漢字には「貝」が多く使われています。財産の「財」、貨幣の「貨」、資産の「資」などには「貝」が使われています。

4.”お金”=”価値”ではない

お金はとても便利な道具でお金があれば様々なモノが買えたり、サービスを受けられたりします。
なので私達は「お金とは、とても価値があるもの」と思い込んでいます。
ですが、3つのお金の機能を知るとある特徴があります。

それは、「お金には価値がある」とは一切言っていないのです。
「”価値”を計る尺度」や「”価値”の保存」と、わざわざ価値は別のモノと説明しています。
価値は別モノというわかり易い例を2つ紹介しましょう。

今もお金の価値は変動している

ニュースや新聞などでインフレやデフレというキーワードを聞いたことはありませんか。

インフレとはモノやサービスの価格(物価)が上がっている状況、デフレは物価が下がっている状況とよく言われますが、文面通りに理解してしまうと大切な事を見落とします。

物価が変動するだけに思えますが、インフレは物価が上がる事とお金の中の価値が下がる事が起きています。
その逆にデフレは物価が下がる事とお金の中の価値が上がる事を意味しています。

引用:知るぽると(金融広報中央委員会)

お金の中の価値というのは今この時間も変動しています。
日常的に目にする紙幣や硬貨には1000円や100円と記載されていて変化がないので実感が湧きにくいですが、そのお金の中の価値は常に変動しているのです。

1万円札は約22円

1万円札があれば色んなモノやサービスを購入することができますよね。
ではなぜ「1万円札」は「1万円」として使えるのでしょうか。

実は1万円札を1枚作るためにかかる金額は、約22〜24円といわれています。
22円の紙の札が1万円分のモノやサービスと交換できると考えるととても不思議ですよね。

なぜ紙の札の「1万円札」が「1万円」として社会でモノやサービスの取引に使われているのでしょうか。
それは、多くの人々が1万円札「1万円分のモノやサービスと交換できると信用しているから」です。

白い紙の札に「10000円」と書いてお店の人に渡しても受け取ってくれません。
それはお店の人が「手書きの10000円札」を信用していないからです。

このように、現代のお金は「価値」というよりは、「信用」によって通用するようにしているのがわかりますよね。

5.まとめ

  • お金は「価値を入れる道具」。使い方を知って道具を使いこなそう。
  • 道具としてのお金の機能は3つです。これは世界の共通認識です!
    ①交換機能
    ②価値を計る尺度
    ③価値の保存
  • お金=価値ではありません。お金の中の価値は変動しています。

ここまで読んでくれた皆さんなら、お金は道具であるというのが少し理解してもらえたのではないかなと思います。

道具であるお金に人生を左右されてはいけません。
人が主体で道具を使いこなすためにも、お金の使い方を学ぶ必要性がわかって頂けると嬉しく思います。
そして、その道具のお金の使い方を子ども達にも伝えてあげてはいかがでしょうか。

Text&Director:Hirotaka Dezawa