子どもがお金を稼ぐと聞いて皆さんはどんなことを思いますか。
子どもがお金を稼ぐってどういうこと?どうやって稼ぐの?と疑問に思う人もいれば、子どもがお金のことを考えるなんて…子どもは勉強していれば良いのに…と考える人までさまざまだと思います。
この記事では、海外や日本の事例から子どもたちがどうお金を稼ぎ、何をそこから学ぶのかを考えてみたいと思います。
海外の事例を真似て取り入れるのは、日本では文化も異なり難しい面もあると思いますが、お子さんのお金の教育のヒントになれば嬉しいです。
この記事は次のような人におすすめ!!
・実践を通して子どもにお金の教育をしたいと考えている人
・実践を通したお金の教育の方法を知りたい人
・海外の子ども達のお金の稼ぎ方に興味がある人
海外の子どもはこんな方法でお金を稼ぐ
アメリカ
アメリカの一部の学校で行われているのがクラフトフェアというイベントです。
このイベントに企画参加できるのは4年生と5年生。
幼稚園児から3年生はお買い物をする形でイベントに参加します。
4年生、5年生の子どもたちは1人当たり5ドルの参加費を払ってブースを借り、売る商品の企画、お店のディスプレイ、看板、商品の価格など全てを自分たちで考えます。
そしてそこで売った商品の売上金はすべて子どもたちのものになります。
このイベントは実際にお金に触れ、お金を稼ぐとはどういうことかを学べる素晴らしい経験となるようです。
アメリカでは、夏になるとレモネードスタンドを見かけるそうです。
このレモネードスタンドとは、子どもたちがお金を稼ぐことを学ぶためや、チャリティーのためにいたるところでレモネードを販売します。
人が多く来る場所や人通りの多い通りに出店したり、客寄せのために豚をマスコットにして注目を集めたり工夫するようです。
どうしたら商品が売れるかを考える機会となり、立派なマーケティング戦略とも言えそうです。
また、レモネードスタンドでアメリカの子どもたちは、小さなころからビジネスを立ち上げ、育て、改善していくという感覚を遊びの中で身に着けていきます。
アメリカでは日常的に子どもたちは自らどうお金を稼ぐか考え実践しています。
自分が作ったクッキーを近所の家を訪問し売り歩いたり、ベビーシッターをしたり、留守中の家の庭木にお水をあげたりするなど、自分ができることを考え工夫し提供します。
そして、その報酬としてお金を得ることによって、ビジネススキルを学んでいくのです。
ハワイ
オバマ大統領の出身校であるプナホウ・スクールで開催されるプナホウ・カーニバル。
このカーニバルはファンドレイジングのための学園祭で、学校運営の資金を個人や法人から集める目的があります。
アメリカの学校は寄付によって成り立っていると言っても過言ではなく、寄付が多い学校は設備が整い、教師の質が高く、学校の活動日数も多くなります。
広大な学校の敷地に、ゲームブースやお店、移動遊園地や飲食店などを生徒とその親、卒業生やボランティアで運営します。
そこで集まったお金は、学校の運営資金となり、学校の設備に投資され、また経済的に恵まれない生徒への助成金となります。
毎年2月の第一金曜日、土曜日に行われるイベントですが、今年はコロナウイルスの影響で来場者はプナホウコミュニティの関係者のみに限定し一日だけの開催になるようです。
シンガポール
シンガポールのとある学校では6年生になるとインドネシアのバタム島にある親のいない子どもたちが通う幼稚園に1泊2日で行くプログラムがあります。
そのプログラムでは、幼稚園に寄付するお金を在校生向けのイベントで集めるというものが含まれていて、子どもたちは手作りのものを売って寄付するお金を集めるようです。
You Tuber 長者番付 3年連続世界1位
世界で最も稼ぐYouTuberはなんと、2018年から3年連続で9歳の男の子なんだとか。
2020年には約30億円を稼いだライアン・カジ君は福岡県出身の日本人の父親をもち、「Ryan’s World」というチャンネルで活躍している様子。
そのチャンネルの内容は、新しいおもちゃで遊びその感想を言うというシンプルなものになっていますが、人を惹きつける何かがあるようです。
日本で子どもはお金を稼げるのか
日本では労働基準法で満15歳に達した日以降の最初の3月31日が終了するまでの児童を雇用してはならないと定めています。
しかし、雇われる形をとらなくても、遊ばなくなったおもちゃを売ったり、You Tubeで動画を配信したり、家の不用品をスマホで売れたり、今なら様々なサービスがあるので親子で一緒にやってみるのも良い経験になります!
いくつか事例をご紹介します。
不用品を売る
サイズアウトしてしまった衣類や遊ばなくなってしまったおもちゃ、読まなくなった本などを買い取ってもらうことでお金を稼ぐことができます。
不要になった衣類を海外に寄付として送るという方法も一つの選択肢。
しかし、服の状態が悪かったり気候に合わないなどの理由で寄付された服が大量廃棄されているのも事実。
寄付を考えるなら寄付する団体について正確にしらべ、その寄付した服がどのようなルートでどの国のどのような人々が手にするのかをしっかり調べてください。
また、近年は不要になった衣類をお金に換えて寄付する動きが活発になってきているようです。
モノによる支援からお金による支援で経済の活性化を図っています。
「塾 こどもLabo」経営
塾「こどもLabo」を運営するのは小学6年生の浜口裕衣さん。
1時間1,000円で小学生に勉強を教えたり、自作の問題を解いてもらったり生徒さんが飽きないように工夫している様子。
もともと勉強が好きだったこともあり、好きなことを活かしたいという思いから起業セミナーに参加し、個人事業主として塾を経営することを決意したそう。
「生徒さんが笑顔で来て笑顔で帰ってくれるようになること」が今の彼女の幸せだそうです。
出典:小6女子、勉強教えます 三重・鈴鹿で「塾」開業: 日本経済新聞
「株式会社SOS」経営
株式会社SOSは想空さんが印鑑証明が取得できる15歳の中学3年生の時に起業した会社。
子どもが使うモノや遊ぶものにスポンサーの広告を印字し、子どもたちに無料で配布することによって、商品をもらう子どもとその親、広告を出す企業の両者が利益を得る形を目指しています。
会社の設立月には売り上げ500万円を達成。
この会社を通して、これからの子どもたちが生きる未来を本当に良くしたいという思いが伝わってきます。
出典:株式会社SOS
家庭内コーヒー屋「ブレンドコーヒー」
ポケモンのカードがたくさん欲しい!というきっかけで始まった家庭内のコーヒー屋さん。
小学1年生の男の子が、自分のお年玉1,000円とお父さんから900円の借金をして家庭内のコーヒー屋「ブレンドコーヒー」を起業しました。
200gで1,900円のコーヒーを購入し、200円で販売することに。
お菓子とのセット商品も販売し、2か月後にやっと黒字になります。
ポケモンのカード欲しさに始めた起業は、最終的に何かをやってお金を稼ぐ楽しさを発見することにつながったようです。
出典:小1起業家 〜900円借金して、コーヒー屋を家庭内起業〜
アプリ開発
スマートフォンアプリ開発コンテスト「アプリ甲子園2015」で優勝したのは小学6年生の男の子。
開発したのは食物アレルギーを持つ人たちが海外で外食する際に、自身のアレルゲンが食事に含まれているかどうかをお店の人に確認できる「allergy」というアプリ。
10言語、9つのアレルギーに対応しています。
開発した中馬慎之祐さんが海外で食事をする際に、自身の持つ卵のアレルギーで苦労した経験からアプリ開発するに至ったそう。
このアプリはU22プログラミングコンテスト経済産業大臣賞などいくつもの賞を受賞し、App Storeで配信されています。
出典:「allergy〜世界中のアレルギーの人のためのアプリ〜」をApp Storeで
おこづかいで報酬制を取り入れる
こんな小学生もいるよといくつか紹介しましたが、起業したり、道端でレモネードを売って買ってくださいとはなかなかできませんよね。
それなら家庭の中で起業したり、お手伝いに報酬をだしたりしてお金を稼ぐことを学ぶのはどうでしょう。
自分が稼いだお金は何よりも価値があり大切なものになります。それがお金の教育につながり、子どもの未来につながるはずです。
おこづかいの渡し方については「子どものおこづかい。渡し方で良い方法は??」に記載してあるので参考にしてください。
小学生の子どものおこづかい。渡し方で良い方法は??まとめ
海外の子どもはこんな風にお金を稼ぐと紹介しましたが、なかなか日本では難しいこともあるでしょう。
しかし、日本でも子どもが社会と関わろうとする動きは近年盛んになってきているように感じます。
実際に中学生、高校生でも普段の生活で不足しているものを自分でどうにかしてみたいと思い起業する子や、自分の手でこんな世界にしてみたいという思いから起業する子。
皆、とても夢があって良いなと思います。
子どものうちからお金に触れ経済に触れることで、社会に興味がわき、子どもの未来の可能性を広げられるのではないでしょうか。
自分の子どもにも夢をたくさんみて欲しいなと思う今日この頃です。
出典:アメリカの「お金教育」事情
出典:米国のマネー教育 夏の風物詩レモネードスタンドで稼ぐ子供達
出典:Punahou School | A Private College Prep School in Honolulu, HI
Text:Yuri Ishiguro
Director:Hirotaka Dezawa