人生100年ともいわれるこの時代。
男女ともに平均寿命は80歳を超え、生涯に必要になるお金は増えています。
2019年には「老後2,000万円問題」が話題になり、果たして私は心配なく老後を過ごすことができるのだろうかと感じている人もいることでしょう。
実際、生涯に必要なお金は2億円とも、3億円とも言われています。
え!!そんなに必要なの!?子どもの教育費のことばかり気にしていて、自分の生活のことまで考えてなかった、という人も多いはず・・・
今回の記事をきっかけにこれからの自分のお金のことについて少し考えてみませんか。
この記事は次のような人におすすめ!!
- 子どもの教育資金も気になるけれど、自分が生活していく上での必要なお金も気になる人。
- 生涯に必要なお金がどのくらいなのか気になる人
- 生涯賃金だけで、一生暮らせるのか不安に感じている人
人生の3大資金
「教育資金」「住宅資金」「老後資金」は人生3大資金と言われ、この3つの合計額は数千万円に及びます。
それゆえ、簡単に準備できるものではなく、計画性を持って準備することが必要になってきます。
教育資金
人生3大資金の一つ目は教育資金。
子どもが成長するにつれてお金がかかることもあり、皆さんが最も気になる資金の一つでしょうか。
下記の表からも分かるように、国立や公立に通わせるのか、それとも私立に通わせるのかで大きな差があります。
公立幼稚園 | 私立幼稚園 |
約22万円 | 約52万円 |
公立小学校 | 私立小学校 |
約32万円 | 約159万円 |
公立中学校 | 私立中学校 |
約48万円 | 約140万円 |
公立高等学校(全日制) | 私立高等学校(全日制) |
約45万円 | 約96万円 |
出典:文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
上記の表の学習費は学校教育費と学校外教育費と言い、習い事や塾にかかる費用、通信教育費が含まれている金額です。
高等学校にかかる費用としては、高等学校への進学率が98%であるという現状から、「高等学校等就学支援金制度」が制定されています。
公立高校に通う生徒には年間11万8,800円の支給で授業料が実質無料となっており、私立高校に通う生徒に対しても令和2年4月より制度の改正で支援が厚くなっています。
下記のグラフは、幼稚園からすべて公立に通った場合のケースから、全て私立に通ったケースまで4つのケースをグラフに表したものです。
人生3大資金の一つとして称されるのも納得ですね。
出典:文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
入学費用 | 在学費用(4年間) | |
国公立大学 | 約67万円 | 約412万円 |
私立大文系 | 約82万円 | 約608万円 |
私立大理系 | 約89万円 | 約732万円 |
大学への進学では、進学先により大きな差が出てくることが上記の表から分かります。
さらに、医学部、歯学部、薬学部などの6年制、留学などの可能性を視野に入れておいても良いのかもしれません。
住宅資金
人生3大資金の二つ目は住宅資金。
この住宅資金は地域によって多少金額に差があるようです。
注文住宅、土地付き注文住宅、建売住宅、マンションすべてにおいて所要資金が毎年上がっています。
首都圏では、土地に限りがあり、また金額も高いため小さな土地を購入する人が多いようですが、それでも5,000万程度の資金が必要になりそうです。
注文住宅 | 土地付き注文住宅 | 建売住宅 | マンション | |
首都圏 | 3,808万円 | 5,162万円 | 3,922万円 | 4,993万円 |
近畿圏 | 3,746万円 | 4,540万円 | 3,441万円 | 4,459万円 |
東海圏 | 3,606万円 | 4,412万円 | 3,013万円 | 4,023万円 |
全国 | 3,534万円 | 4,397万円 | 3,495万円 | 4,545万円 |
その他の地域 | 3,356万円 | 3,949万円 | 2,842万円 | 3,844万円 |
出典:フラット35利用者調査:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
老後資金
2019年に「老後2,000万円問題」が話題となりましたが、2020年では夫婦ともに65歳以上の無職世帯の家計収支は実収入から税金などの非消費支出を差し引いた可処分所得が約22万5,000円。
それに対し消費支出は22万4,000円で約1,000円の黒字となっています。
2019年には毎月約55,000円の赤字となり老後30年間で約2,000万円が必要になると言われていただけにこの数年での変化に疑問がわきます。
この2020年はコロナウイルス感染症への経済対策として国民すべてに特別定額給付金が支給され、また外出自粛によって消費支出が前年に比べて減少していることがこの数年の変化につながると考えられます。
老後に2,000万円必要との見解は多少言い過ぎなのかもしれませんが、今から老後のライフプランを考えておくことはこれからの安心につながるでしょう。
参考までに、下記のグラフが「老後2,000万円問題」のきっかけとなった2017年の家計収支調査の結果です。
不足分が約5万5,000円であることが分かります。
ほかにこんな資金が考えられます!!
毎月の生活費
夫婦と子ども2人の4人家族の1か月の生活費は全国平均で約32万4,000円。
この金額も地域によって多少差があります。
地域 | 消費支出 |
北海道 | 約30万5,000円 |
東北 | 約31万円 |
関東 | 約34万2,000円 |
北陸 | 約33万5,000円 |
東海 | 約32万7,000円 |
近畿 | 約30万3,000円 |
中国 | 約32万3,000円 |
四国 | 約29万5,000円 |
九州 | 約31万1,000円 |
沖縄 | 約25万円 |
全国平均で約32万4,000円の生活費はどのような内訳なのでしょう。
食料 | 約7万7,000円 |
住居 | 約1万9,000円 |
光熱・水道 | 約2万2,000円 |
家具・家事用品 | 約1万2,000円 |
被服・履物 | 約1万3,000円 |
保健医療 | 約1万3,000円 |
交通・通信 | 約5万5,000円 |
教育 | 約1万9,000円 |
教養娯楽 | 約3万2,000円 |
その他の消費支出 | 約6万2,000円 |
リフォーム費用
リフォームにはそれぞれ動機がありますが、住宅が傷んだり汚れてきたため、家を長持ちさせるため、設備を充実させるためが上位を占めています。
リフォームの平均築年数は25,5年で平均181万円の費用がかかっています。
親の介護費用
自分の親や配偶者の親に介護が必要になった場合、どのくらいの費用が必要となるのでしょう。
住宅の改造や介護用のベッドの購入などにかかる一時費用の平均は74万4,000円。
また、1か月にかかる介護費用の平均は8万3,000円です。
介護期間は平均61,1か月なので、総額約507万円にも上ります。
しかし、この費用も地域によって差があります。
下記の表を参考にしてください。
北海道 | 25万7,000円 |
東北 | 121万6,000円 |
関東 | 97万3,000円 |
北陸 | 98万9,000円 |
中部 | 42万8,0000円 |
近畿 | 69万4,000円 |
中国 | 47万9,000円 |
四国 | 76万円 |
九州 | 71万円 |
北海道 | 7万2,000円 |
東北 | 9万1,000円 |
関東 | 9万2,000円 |
北陸 | 8万3,000円 |
中部 | 7万7,000円 |
近畿 | 7万9,000円 |
中国 | 8万5,000円 |
四国 | 4万7,000円 |
九州 | 7万8,000円 |
出典:2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」
生涯賃金はいくら?
生涯賃金は学歴や企業規模によって大きな差が見られました。
下記のグラフは学校を卒業後、フルタイムの正社員を60歳まで続けた場合の賃金です。
退職金は含まれていません。
実際ここから、税金や社会保険料がひかれるため手取り金額は2〜3割減ると考えておいた方が良いでしょう。
まとめ
生涯に必要なお金は約3億円と言われています。
生きていくにはこんなにもお金がかかるのかと悲観的になってしまうかもしれません。
実際、約8割の人が老後の資金について不安に思っているというアンケート結果も。
ライフスタイルや家族構成、住宅にかける費用などで生涯必要になるお金は大きく変わってきます。
資金の準備は時間を味方につけることも大切です。
今からゆとりのある準備をすることで、これからの人生夢のある生活をしたいものですね。
Text:Yuri Ishiguro
Director:Hirotaka Dezawa