子ども1人を育てるにはいくら必要??

子どもを育てるにあたって、お金に関して心配なことは何ですか?と問われたら皆さんどう答えますか。
おそらく教育費が一番最初に頭に浮かぶのではないでしょうか。

しかし、子どもを育てるには、教育費だけあれば子どもが育つわけではありません。
ごはんを食べさせなくてはならないし、洋服を着せなくてはならない。
病気になったら病院に連れて行かなくてはいけない。
遊びに連れていってあげたいし、いろいろな経験をさせてあげたい。
そう考えると、子どもが大きくなるまでに一体いくらかかるのだろうか?と気になります。

子育て費用に漠然とした不安があるけれど、どうすれば良いか分からない人にとって、この記事が何かしらの行動を起こすきっかけになれば良いなと思います。

Yuri Ishiguro
Yuri Ishiguro

この記事は次のような人におすすめ!

  • 子どもを一人を育てるにはいくら必要なのか知りたい人
  • 子育てに必要な費用に不安を感じている人
  • 子育てに必要な費用を明確にして、対策を考えたい人

1.子どもを育てるために必要なのは、教育費だけではない

子どもを社会的、経済的に自立させるまでにはさまざまな費用が必要になってきます。
内閣府が行った子育て費用に関する調査において、子育て費用は下記のように分類されています。

費用内容例
衣類・服飾雑貨費衣類、下着、靴、カバン、身の回り品
食費家庭内での食事代、外食費、おやつ
生活用品費生活消耗品、文房具、書籍、おもちゃ、子ども用生活用品、子ども用家具、子ども用寝具
医療費保険・医療窓口での支払額、保険・医療機関までの交通費、医薬品類
保育費保育所・幼稚園等の入園初期費用、入園準備費、保育料、月謝、給食費、行事、教材費、
ベビーシッター代
学校教育費国立、私立学校の入学初期費用、授業料、寄付金、学校給食費、PTA会費、修学旅行・
遠足などの費用、制服、通学用品費、通学交通費、学校教材費
学校外教育費家庭内学習用図書費、学習塾費、通信教育費、家庭教師料
学校外活動費学習塾以外の習い事の月謝等、習い事の用具・用品費、検定費用、子どもの短期留学費用
子どもの携帯電話料金基本料金、通話料、パケット料
おこづかい子どもに渡した現金で、子どもが使い道を自由に決められるもの
お祝い行事関係費出産祝い関係費、お祝い費、誕生日祝い、季節行事
子どものための
預貯金・保険
預貯金、学資保険、傷害保険、共済、生命保険等
レジャー・旅行費子どもとの日帰りレジャー費、子どもとの宿泊を伴う旅行費
妊娠中の出産準備費妊婦用品、衣料費、妊娠中の運動・学習、胎教、安産祈願費
出産関連費出産前の定期検診費、分娩・入院費、通院や里帰り出産のための交通費
出産関連助成金受給額
(国・自治体等からの
助成金)
出産前の定期検診費(助成金)、分娩・入院費(助成金)、通院や里帰り出産のための
交通費(助成金)
出典:平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査 全体版 : 子ども・子育て本部 – 内閣府
(モバイルはスライドして見れます。)

年齢別の子どもにかかるお金の割合

下記は、子育て費用を分類し、その分類した費目においてどのくらいの割合で子育て費用がかかっているのかのグラフです。

一人当たりの年間子育て費用の費目別割合では、就学区分ごとに比重の高い費目が異なります。
未就園児は「子どものための預貯金・保険」、保育所・幼稚園児は「保育費」、小学生は「食費」、中学生は「食費」や「学校内外教育費」となっています。

2.年齢別でみる子育て費用

実際、子育て費用はどのくらいかかるのでしょうか。

下記の表は平成21年度の調査のため、現在と多少の差はあると思いますが、子ども一人を育てる費用を年齢別に記載しています。

また、この調査の対象の大半は公立の学校に子どもを通わせている家庭であるため、私立に通わせる場合には、さらに教育費がかかると考えてください。

0歳~中学3年生

生まれてから中学生までの子育て費用と教育費を算出してみました。
( )内は子育て費用のうちの教育費です。

総額18,995,250円 (内教育費 3,993,781円)の試算になりました。

年齢・学生子育て費用の総額
()は内教育費
0歳931,246円  (10,974円)
1歳878,040円  (19,505円)
2歳943,715円  (30,614円)
3歳1,040,577円 (43,682円)
4歳1.197,116円 (73,863円)
5歳1,159,523円 (94,174円)
6歳1,215,243円 (109,142円)
小学1年生1,112,082円 (274,892円)
小学2年生1,059,791円 (256,065円)
小学3年生1,131,097円 (276,918円)
小学4年生1,152,088円 (310,968円)
小学5年生1,235,483円 (356,240円)
小学6年生1,269,053円 (389,991円)
中学1年生1,527,873円 (565,834円)
中学2年生1,531,521円 (526,970円)
中学3年生1,611,802円 (653,949円)
*()内の教育費は子育て費用の費目の、学校教育費・学校外教育費・学校外活動費を足したもの
出典:平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査 全体版 : 子ども・子育て本部 – 内閣府

高校生

令和2年度の文部科学省の調査において、高等学校等への進学率は98.8%にのぼっており、そのうち県外に進学する割合は6.7%です。
それを踏まえたうえで、中学3年時の養育費と大きな差はないと考えられるため、高校3年間における養育費に関しては、中学3年生の調査結果を参考にします。

公立:総額4,244,631円 私立:総額5,777,789円の試算になりました

区分公立の子育て費用の総額
()は内教育費
私立の子育て費用の総額
()は内教育費
高校1年生1,465,833円(507,980円)2,117,869円(1,160,016円)
高校2年生1,418,323円(460,470円)1,850,980円(893,127円)
高校3年生1,361,475円(403,622円)1,808,940円(851,087円)
*教育費を除く子育て費用を957,853円で計算
出典:平成30年度子供の学習費調査の結果について 文部科学省
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高校の授業料の支援制度

高等学校等就学支援金制度

高校等(高等専門学校・高等専修学校等を含む)に在籍し、年収目安910万円未満の家庭が対象になる制度です。
この制度で、国公立高校の授業料は実質無料になります。

参考資料:高等学校等就学支援金制度【文部科学省】

私立高校授業料実質無償化

年収目安590万円未満の世帯に私立高校の授業料の平均額とされる39万6000円を上限に国が負担する制度です。

参考資料:私立高校授業料実質無償化【文部科学省】

大学生

自宅一人暮らし
国立公立私立国立公立私立
学費699,200711,6001,374,600614,000629,6001,394,900
生活費423,100418,700436,2001,151,8001,052,3001,100,400
1,122,3001,130,3001,810,8001,765,8001,681,9002,495,300
出典:平成30年度学生生活調査 日本学生支援機構(JASSO)
(モバイルはスライドして見れます。)

大学へ進学した場合、自宅外から通学する場合には自宅外通学者への仕送りをする場合があります。
その額は、年間平均90.3万円。
それに加え、自宅外通学を始めるための費用として1人当たり平均39.3万円の費用がかかると予想され、自宅外通学が予想される場合はそれらの費用も頭に入れておく必要があります。

奨学金制度について

奨学金とは、独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)ではこのように定義されています。

経済的理由で修学が困難な優れた学生に学資の貸与を行い、また、経済・社会情勢等を踏まえ、学生等が安心して学べるよう、「貸与」または「給付」する制度です。

引用:JASSOの奨学金とは – JASSO

国や自治体、大学、企業などの民間団体が独自の制度を設け、学生を支援します。

独立行政法人 日本学生支援機構の平成30年度の調査では、高等専門学校の学生の約17%、大学(昼間部)の学生の約47%、短期大学(昼間部)の学生の約55%、大学院修士課程の学生の約48%、博士課程の学生の約53%が何らかの奨学金制度を利用している結果となっています。

奨学金については「奨学金とは?メリット・デメリット」に詳しく載せていますので参考にしてみて下さい。

3.子育てをするうえで知っておきたい制度

児童手当

児童手当は、日本国内に住んでいる中学校卒業までの子どもを養育している人に支給されます。
支給金額は下記の表のほか、所得制限があり、一定以上の所得がある家庭は金額が異なります。

児童の年齢児童手当の額(一人あたりの月額)
3歳未満一律15,000円
3歳以上小学校修了前10,000円
(第3子以降は15,000円)
中学生一律10,000円

詳しくは「児童手当、どう使う?」に載せていますので参考にしてみて下さい。

児童扶養手当

児童扶養手当は、一人親家庭の生活の安定と自立を助け、児童の健全育成を図ることを目的とし支給されるものです。

18歳に達した年の年度末までの児童を監護している母または父、母または父に代わって児童を養育している人が受給資格者となります。

幼児教育・保育の無償化

幼稚園、保育園、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子どもたち、住民税非課税世帯の0歳から2歳クラスまでの子どもたちの利用料が無料になる制度です。

医療費助成制度

医療費助成制度は、医療機関を受診する際に保険診療分の自己負担医療費が補助される制度です。

2020年、子育てしやすい街ランキング1位になった千葉県松戸市を例にすると、助成の対象は0歳から中学3年生まで、自己負担額は、通院1回・入院1日で200円、調剤は無料になっています。

4.まとめ

子ども一人を育てるには、子どもが選択する進路によって異なってきますが、少なくと3,000万円前後は必要になります。
国や市区町村の助成金を利用しながら、無理のない資金計画をたて、子育てを楽しめると良いですね。

Text:Yuri Ishiguro
Director:Hirotaka Dezawa