最近、日本でもやっとお金の教育の重要性が説かれるようになってきました。
しかし、幼稚園、保育園、小学校などではまだまだ浸透していないのが現状です。
だったら子どもにとって一番身近な存在である親の私たちが、子どもにお金のことを教えてあげれば良いんではないだろうか…と考えるのが自然の流れ。
でも、重要性がいまいち分からない。当然ですよね。
だって私たちは、かつて学校で教えてもらってませんから。
だから、お金の教育と言われても、何を教えて良いか分からない。
何から始めれば良いか分からない。
そんな不安や疑問を解決して、子どもたちの将来の選択肢と可能性を広げませんか。
この記事は次のような人におすすめ!
- 子どもにお金の教育がどのくらい必要なのか知りたい
- 子どもにお金の教育をはじめようとしている
- お金の教育をしたいけれど、何をして良いか分からない
1.なぜ子どもにお金の教育が必要なのか
この記事を読んでくれている皆さんは、金融リテラシーという言葉をご存じですか。
金融リテラシーとは何か、金融リテラシーが高いとどんなメリットがあるのかは
「金融教育のメリットってなに?? 3.金融教育は将来どのくらい役にたつのか」で詳しく載せています。
また、お金の教育は子どもにどのような影響を与えるのかも
「金融教育のメリットってなに?? 4,金融教育をすることのメリット」で詳しく載せています。
2.お金の教育はいつから始めれば良いの?
子どもがお金に興味を持ち始めた時が、お金の教育を始めるのに良いタイミング。
子どもが「お菓子買って!」「おもちゃ買って!」と親におねだりするのは、お金でモノが買えることが分かっているという証拠。
そのタイミングで、最初はお金とはどういうものかを教えてあげましょう。
まだ小学生になっていないから、お金のことを教えるのは早くないだろうか。
教えても理解できないのではないだろうかと考えてしまいがちですが、お金の教育に「早い」ということはありません。
難しいことを教えなくても良いんです。
簡単なことから始めるのが、家庭でできるお金の教育の第一歩ではないでしょうか。
3.そもそもお金とはどういうものなのでしょう?
お金は便利な道具だが、使い方を間違えると凶器になることもある
お金の3つの機能
- 何かと交換できる
- 「高い」「安い」などの価値をはかることができる
- 貯めることができる
未だにこの日本では、「お金のことを考えるのは良くない」「お金の話をするのは、はしたない」といった感覚が残っていますが、この3つの機能を正しく理解することで、お金に対するイメージが変わりませんか。
お金は私たちが生活するうえで、必要不可欠な存在です。
しかし、そのお金の使い方を一歩間違えてしまうと、凶器にもなるということを忘れてはいけません。
お金が原因で問題が起きるとしたら、その問題は「お金」そのものが原因ではなく、そのお金を扱う人やその扱い方に問題があるということです。
幸せはお金の量ではなくどうやって使うかで決まる
モノの本質を見ずに値段だけで物事やその価値を判断してしまうと、お金に縛られた生き方になります。
同じお豆腐なのに、高いお豆腐の方が何となく良く見えるということです。
ですから、お金に支配されないためにはお金以外のモノサシを自分の中に持つことが大切です。
そのモノサシとは自分なりの幸せの基準です。
お金がたくさんあるから幸せなのではなく、そのお金をどのように使うかであなたの幸せは変わってきますよ。
モノと値段の関係を考える
同じモノでも値段が違ったり、季節が変わることによって同じモノの値段が変わったりしますよね。
このように、モノの値段は質の高さだけで変わるわけではなく、さまざまな状況が重なって変わることがあります。
お金と仲良くなるためには、そのモノの値段に見合った価値があるのかを自分で判断することが大切になってきます。
4.お金の教育 どんな教え方があるの?
気軽に始められるのは、日常生活の中で意識して伝える事はすぐにでもスタートできます。
いくつかご紹介します。
日常生活の中で学ぶ
「道草いっぱい」という絵本をご存じですか。この絵本は、子どもが学校からの帰り道にみちくさをしながら帰る昔の日本の日常の様子が描かれています。
学校からの帰り道には、桶屋さん、染物屋さん、お菓子屋さん、畳屋さん、提灯屋さん、看板屋さん、豆腐屋さんといったお店がいくつも立ち並び、そこで働く人々の姿を子どもたちは身近に感じていました。
そして、子どもたちはその姿に憧れを持ち、将来に夢を抱いたのです。
しかし、現在の日本はそうした大人の姿を見ることが難しくなり、将来への意欲や活力を見出すことが難しくなってきています。
だからこそ、親である私たちが子どもに自分がどういう仕事をしていて、その対価としてお金をもらい、どのように家計が成り立っているのかを話します。
そうすることで、経済や社会のことを少しずつ学ぶでしょう。
そして、もっとこれからこうしていきたいなどの夢を親が話すことができたら、子どもは大きくなったらお父さん、お母さんのようになりたいという夢を持てるのではないでしょうか。
スーパーマーケットに行くと、お豆腐なのに、商品によってひとつひとつ値段が違います。
また、お店が違うと同じ商品なのに値段が違うことがあります。
家庭によってお買い物をする時に譲れないものってありますよね。
少し高いけど、この商品は質が良さそうだからこれを買うとか、量も多いし、安いからこれを買うとか。
今日は〇〇円持っているから、この商品はやめてこちらの商品にしようとか。
そういうことを話しながらお買い物することが大切です。
お金の使い方として、高いか安いかだけで判断しないということを伝えることも大事。
そして、子どもと話しながら一緒にお買い物することで、欲しいものが好きなだけ買えるとは限らないこと、お金を貯めることで高価なものが買えることを教えていきましょう。
子どものなりたいお店屋さんの品物をさまざまな材料を使って作り、作ったお金で売り買いを楽しみましょう。
お金を支払うことで、品物を買えるということを学んだり、買った品物や作った品物を大切にすることを教えて欲しいと思います。
また、この遊びをすることによって、実際にお店に行ったときに使う言葉も自然に覚えることができるでしょう。
いくらかお金を渡し、その金額の範囲内で品物を選び支払いをします。
自分で支払いをすることで、お買い物するとお金が無くなるということを身をもって体験し、お金がないとモノが買えないことを知ります。
欲しいものと必要なものが違うということも少しずつ理解していくはずです。
おこづかいは、もちろん貯めることも大切ですが、お金は使ってこそ意味があるものでもあります。
お金を有意義に使うことを親が促すのも大切な働きかけではないでしょうか。
そして、失敗や反省を繰り返すことで、お金の本当の価値を覚えていって欲しいと思います。
おこづかいについては「子どものおこづかい。渡し方で良い方法は?」でも触れているので参考にしてみて下さい。
ゲーム・ボードゲームで学ぶ
どうぶつとコミュニケーションをとりながら無人島を発展させていくゲームで、ローンを組むことで自宅を建築・増築できたり、お金を預けることによって利息を受け取ることができたり、株式投資が学べる内容のゲームです。
各プレーヤーが億万長者を目指してコマを進め、さまざまな職業についたり、家を購入したり、結婚、出産、転職、収入・支出を繰り返す山あり谷ありの人生をシミュレーションするゲームです。
プレーヤーはすごろくの要領で盤上を周回しながら、他のプレーヤーと盤上の不動産を取引することにより同一グループを揃え、家やホテルを建設することで他のプレーヤーから高額なレンタル料を徴収して自らの資産を増やし、最終的に他のプレーヤーを破産させるゲームです。
アプリで学ぶ
三井住友カードが提供する子ども向けのおこづかい帳アプリです。
アプリ内では、親が「おうちの方ユーザー」、子どものが「子供ユーザー」となり、子どもがおこづかいの収入・支出を入力することで、親がその入力内容を閲覧することができます。
また、ハロまね銀行という仮想銀行があり、親が銀行役となり、預かったお金を引き出し申請があるまで預金として管理することができます。
金利設定やドル預金も可能で、利息や為替が体感できます。
その他に、おてつだい機能があり、おてつだいした日をカレンダーに表示し子どものやる気を引き出します。
おてつだいをすることで得られる報酬の単価も任意で設定することができます。
お金の種類や数え方、計算力などを養うための学習アプリです。
遊び感覚で繰り返し学習することで自然と知識が身に付きます。
段階的な難易度が設定されており、子どもの成長や興味によって利用することができます。
職業疑似体験型の知育ゲームとごっこランドのオリジナルの知育ゲームができるアプリです。
実在する45社のごっこ遊びが可能で、その工程の随所に、数字や言葉の理解、習得などを取り入れています。
宇宙人が生み出すお金をタップして集め、両替や100種類の「お買い物アイテム」の購入を繰り返すことで、お金の数え方や繰り上がりを学び、お金の使い方が身に付きます。
お金を選ぶだけで両替や買い物が可能なので、計算ができなくてもお金のルールを体験することができるようになっています。
お店の経営を体感できるアプリです。
農園で野菜や食材を作り、メニューを開発するレストラン経営シミュレーションゲームです。
サンドウィッチのお店を経営するアプリです。
品質改良や種類を増やすことによって集客をしたり、お店をデコレーションして自分好みの個性あふれるお店を作ることができます。
原価や利益を学べるなど基本的なビジネス感覚が身に付きます。
本で学ぶ
日本銀行のお金・金融・経済に関する事柄を学べる冊子です。
「お金ってなに」「お金のながれ」「お金の価値(物価の安定)」の3つのテーマから構成されています。
お金の使い方だけではなく、お金の稼ぎ方や社会・人との関わり方についての本です。
モノの値段が分かる「物価の価値」から会社を応援する「投資」についても提案しています。
出典:10歳から知っておきたいお金の心得〜大切なのは、稼ぎ方・使い方・考え方 | 八木 陽子
この本の特徴はまんが形式になっているところ。
「お金はどこからくるのか」ということから「クレジットカードの使い方」まで、分かりやすく説明しています。
出典:学校では教えてくれない大切なこと 3 お金のこと | 旺文社, 関 和之
欧米やユダヤ人の富裕層の間で行われているお金教育のエッセンスを抽出し、日本の家庭向けに改良した本です。
就学前の3歳から、小学生、中学生、高校生まで、段階を踏んで教えるべき内容や教え方のアイディアが書かれています。
出典:子どもの視野が驚くほど広がる! 3歳から始める欧米式お金の英才教育 | 幸子, 川口
5.まとめ
子どもにとって一番身近な存在である私たち親が、子どもに教えられることはたくさんあります。
難しく考えてしまうと、何も始められないですよね。
一緒にお買い物に行ったり、お家でお買い物ごっこをしたり、そんなことでも子どもはとても楽しんでいろいろと学びます。
大きくなった時、お金を上手に道具として使えることができるようにするため、今から少しずつお金の教育を始めませんか。
Text:Yuri Ishiguro
Director:Hirotaka Dezawa